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レオ・ヌッチ in ヴェルディ『ナブッコ』 ミラノ・スカラ座

レオ・ヌッチ in ヴェルディ『ナブッコ』 ミラノ・スカラ座_d0176837_19124711.jpg

一度は来てみたかった世界最高峰の歌劇場ミラノのスカラ座(Teatro alla Scala)。ローマ在住時はずっと改修中だったため、今回のイタリア旅行でようやく実現しました。しかも、当代随一のヴェルディ・バリトンのレオ・ヌッチ(Leo Nucci)がタイトルロールを歌う。

レオ・ヌッチを初めて知ったのは、2011年ベルリン・ドイツ・オペラの「椿姫」を観たとき。出演者も知らず、旅行の日程上たまたまチケット買えて観に行った公演が、主要3役にヴィットリオ・グリゴーロ、パトリツィア・チョーフィ、レオ・ヌッチという、今から思えばかなり豪華なキャスト。この時、もちろんテノール、ソプラノも素晴らしいかったけれどもバリトンが一流だと舞台全体がバシッと決まる、ということを肌で感じる(そして、結局、この3人全員のソロアルバムを買うことに・・・)

参考:レオ・ヌッチ 衰えしらずのまま円熟味が加わる理由(毎日新聞)

この時、御年71歳。初めてベルリンで見たときと比べて、往年の声量はもう出ていなかったのかもしれない。でも存在感はさすが。カーテンコールでは、ヌッチはスカラ座の聴衆に本当に愛されているのだなということが、ひしひしと伝わってきました。この人の当たり役である「リゴレット」は是非とも観てみたい。


レオ・ヌッチ in ヴェルディ『ナブッコ』 ミラノ・スカラ座_d0176837_05311862.jpg
カーテンコールの様子 舞台の奥行の深さがよく分かる

スカラ座カンパニーのパフォーマンスはもちろん素晴らしかったと思います。が、昨今、オペラも財政難か、演出を現代風にアレンジして、セットも衣装もシンプルにしたものが多く、私はこれが好きではない(多くの人がそうだと思いますが)。非日常的な空間に身を置けるのがオペラをはじめ観劇の楽しみの一つ。セットをシンプルにしたり、照明と映像で効果を出すのは良いとしても、古代バビロニアのネブカドネザル2世(ナブッコ)が、マフィアのドンのようなダブルのスーツで登場されても、今一つ雰囲気に乗れません。ヌッチの威厳あるパフォーマンスを十分に引き出せなかったのも、ひとつには演出のせいではないかと。スカラ座のチケットはイタリアの他の歌劇場と比較しても破格に高い。それだけに、つまらないところで節約しないで、ちゃんと時代考証した演出で、古代バビロニアに連れて行ってほしいものです。

こんな感じ。どうでしょう?




Source: Teatro alla Scala
「行け、わが想いよ、金色の翼にのって 」(Va, pensiero, sull'ali dorate) 
イタリアの第二国歌的な位置づけにある名曲

スカラ座のチケットはインターネットで比較的容易に買うことが出来ました。でも、ボックスオフィスで受取という手段ではなく、すべて郵送(システムは良く変わるので、今はどうなっているか分かりません)。本当に届くがちょっとドキドキしましたが、郵便箱を開けると、ミラノの消印でスカラ座のエンブレムが印刷されたシンプルなデザインの封筒を見つけるというのも、なんだかとても古風で素敵な感じでした。世界中から聴衆が集まるスカラ座とあって、ギフトショップの品ぞろえはすごい。でも、こちらも破格に高かったです。それでも、みんな記念に買っていくんですね。すべてがあまりに高いので、私はナブッコ初演のポスターの複製マグネットを一つ購入。


そして、歌劇場で2030席のキャパシティを持つスカラ座はさすがに規模が大きい(ローマは1600席)。一方で、ボックス席の中は非常に狭く、これではかつて上流階級のご婦人方が装飾たっぶりの衣装で来ては入りきれないのではないかとちょっと心配に。でも2列目はもともと従者の席だったということで納得(なので、この席からはステージがほとんど見えないのでご注意)。同じボックス席でもヴェネツィア・フェニーチェ劇場の方は比較的、広々としていて、オペラグラスなどを置くミニテーブルもあって非常に快適でした。1000席規模のフェニーチェ劇場は、正面のボックスからでもステージが近く感じ、また内部の装飾も美しく、そして何より街全体がすでに劇場空間的なヴェネツィアの潟に浮かんでいる、ということで、個人的にはフェニーチェに軍配。
レオ・ヌッチ in ヴェルディ『ナブッコ』 ミラノ・スカラ座_d0176837_05443896.jpg
9th February, 2013
Teatro alla Scala

Nabucco (Baritone): Leo Nucci
Ismaele (Tenor): Aleksandrs Antonenko
Zaccaria(Bass): Vitalij Kowaljow
Abigaille (Soprano): Liudmyla Monastyrska
Fenena (Mezzo-Soprano): Veronica Simeoni

Premiered: 1842, Teatro alla Scala
レオ・ヌッチ in ヴェルディ『ナブッコ』 ミラノ・スカラ座_d0176837_05584434.jpg
イタリアのオペラ座のファサードはどちらかといえば質素で内部の豪華さと対照的





by chiarablue | 2013-02-09 23:46 | オペラ/ミュージカル | Trackback | Comments(0)

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